会社都合でもらえる失業保険についての全知識|給付金額や期間を徹底解説

失業保険を会社都合で受け取りたいと思っても、会社都合ってよくわかりませんよね。しかし、会社都合だと自己都合に比べて失業保険が給付されるときの待遇で良く、失業保険を受け取りたいなら会社都合について知っておく必要があるのです。この記事では、会社都合となる条件、会社都合と自己都合の失業保険が給付される条件の比較、会社都合となるための証拠の集ま方まで、会社都合について詳しく、わかりやすくご紹介しています。

 

失業保険の受給待遇を会社都合退職と自己都合退職で比較

失業保険の受給申請をする場合、退職理由を申請する必要があります。退職理由には「会社都合」と「自己都合」がありますが、それぞれ失業保険の受給待遇が異なります。「会社都合」のほうが優遇されているのです。それでは、具体的に会社都合がどのように優遇されているのか、内容を見ていきましょう。

給付日数

給付日数とは失業保険の給付金を受け取れる日数の事です。給付日数は、年齢と勤続年数によって異なりますが、「会社都合」の場合は「自己都合」の1.5倍から2.2倍長くなります。

会社都合の場合、給付日数は90日から240日ですが、自己都合の場合は90日から150日です。また、自己都合で勤続期間が1年未満の場合は受給できません。

給付制限

退職理由が「自己都合」の場合、失業保険の受給申請日から7日間の待期期間終了後、さらに3か月間失業保険の給付を受けることができません。これを給付制限と言います。しかし、「会社都合」の場合はこの給付制限がないため、待期期間終了日の翌日から失業保険の給付の対象となります。

最短支給開始日

失業保険が最初に振り込まれるのは、最初の認定日から5~7日後ですが、ハローワークによっては2~3日後に振り込まれる場合もあります。振込先がゆうちょの場合はこれより5日ほど余計に時間がかかります。

認定日は4週間に1回の決められた日となっています。認定日は休日や年末年始にあたると、1週間程ずれることがあります。認定日は前回の認定日から今回の認定日の間で、支給対象となる日数を認定する日です。

失業保険を給付されている間もアルバイトなどで収入を得ることは可能ですが、アルバイトなどで収入を得ている間は支給対象日から除外されます。全体の給付日数は決まっていますので、除外された分は後ろにずれこんでいくことになります。

それでは、最初の認定日を迎えるまでにどれくらいの期間を要するのかを説明します。まず、支給申請をしてから7日間の待期期間があります。これは「会社都合」も「自己都合」も同じです。

しかし、「自己都合」の場合ですと3か月の給付制限がありますので、3ヶ月の給付制限が終わった翌日以降の認定日が最初の認定日となります。「会社都合」の場合はこの給付制限がありませんので、7日間の待期期間が終わった翌日以降の認定日が最初の認定日となります。

ですので、最短支給開始日は「会社都合」の場合、7日+2日+2日=11日後です。

※7日が待期期間。2日がハローワークが振り込みする最短日数。

「自己都合」の場合ですと、「会社都合」の場合にプラス3か月となりますので3か月と11日が最短支給開始日です。

国民健康保険税

会社を退職した場合、それまで使っていた健康保険が使えなくなります(実際には延長することも可能ですが)。再就職するまではその間、国民健康保険に加入することになります。この時の国民健康保険の保険料は前年度の収入より計算しますので、毎月の掛け金は安くないものになります。

しかし、「会社都合」が退職理由の場合は 国民健康保険料の軽減措置があります。軽減された保険料は前年度の所得の3割で計算しますので、7割少なくなります。。これは、法改正によって平成22年4月から実施されています。また、軽減される期間は最長2年間となっています。

最大支給額

退職理由によって、一日当たりの給付金額の差はありませんが、給付される日数が異なってきます。年齢、勤続年数(雇用保険加入期間)によって違うのですが、「会社都合」の場合はこの給付日数が、「自己都合」の場合の1.5倍から2.2倍も長くなります。その分、支給額の総額も多くなるというわけです。

失業保険の給付期間は、会社都合か自己都合かの退職理由と年齢で日数が異なる

「会社都合」と「自己都合」では、給付日数も変わってきます。給付日数も「会社都合」のほうが「自己都合」よりも優遇されているのです。以下それぞれの給付日数を表にまとめましたのでご覧ください。

会社都合退職で失業保険を受け取れる日数一覧

まずは、会社都合で失業保険を受け取れる日数を表にまとめました。下の表をご覧ください。

加入期間 1年未満 1年以上5年未満 5年以上10年未満 10年以上20年未満 20年以上
30歳未満   90日   90日   120日   180日     ―
30歳以上30歳未満   120日   180日   210日 240日
35歳以上35歳未満   150日   240日   270日
45歳以上60歳未満   180日   240日   270日   330日
60歳以上65歳未満   150日   180日   210日   240日

 

会社都合で失業保険を受け取る場合は、加入期間が1年未満でかつ、30歳未満であっても90日は失業保健を受け取ることができます。また、加入期間が20年以上で45歳以上60歳未満であれば330日間も失業保険を受け取ることができます。

全年齢、加入期間別のすべての区分ごとの日数をまとめると、失業保険を受け取ることのできる日数は90日から330日となっています。

自己都合退職で失業保険を受け取れる日数一覧

続いては、自己都合退職で失業保険を受け取れる日数を表にまとめました。下の表をご覧ください。

加入期間 1年未満 1年以上5年未満 5年以上10年未満 10年以上20年未満 20年以上
全年齢  なし   90日   90日   120日   150日

 

自己都合退職で失業保険を受け取る場合は、受け取れる日数に年齢での区別がありません。加入期間の長さだけで決まっています。また、加入期間が1年未満だと失業保険がもらえません。20年以上加入していても150日と条件が厳しくなっています。

以上のように、「会社都合」は「自己都合」と比較して給付日数でも大きな優遇の差があるのです。

自己都合退職を会社都合退職へ変更するための知識

退職理由が「自己都合」か「会社都合」かによって、失業保険の待遇が大きく変わります。給付日数は「会社都合」の場合は「自己都合」の1.5倍から2.2倍多くなり、給付制限もありません。また、国民健康保険の負担軽減措置も受けることができます。

自分では自己都合退職と思っている場合、あるいは離職票に「自己退職」となっている場合でも会社都合退職に変更できる場合があります。不利益を被らないためにも、下記の内容に当てはまらないかよく検討してみてください。

失業保険の会社都合となる理由

以下の理由で退職する場合は「会社都合」となります。1つずつ見ていきましょう。

1.会社が倒産した場合

倒産とは、一般的に会社の経営が破綻し、債務を弁済できない状態になったり、破産手続きを始めたり、経済的波状によって支払い不能等になることを言います。

会社が倒産した場合の退職理由は「会社都合」です。

2.会社の3分の1以上が退職など、大量雇用があった場合

1ヶ月に30人以上が事業所単位で退職した場合、または会社の3分の1以上の社員が退職した場合等、大量の退職者が出た場合の退職理由は「会社都合」です。

3.給料が低下した場合

給料が一定の基準よりも低くなったので退職した場合は、退職理由は「会社都合」となります。現在の基準は、給料が残業手当を除いて、85%未満に少なくなった場合です。

4.採用条件と大きく違う場合

採用時の労働条件、賃金、勤務時間、職種、勤務地が、実際の労働条件と大きく異なる場合は「会社都合」となります。

他にも、突然業務内容が変わり、職場に適応できなくなったために退職した場合も「会社都合」での退職となります。

5.パワハラ・セクハラ・モラハラなどで退職した場合

パワハラ・セクハラ・モラハラなどが原因で、自ら退職を願い出た場合も、退職理由は「会社都合」となります。

パワハラについては以下の記事で詳しく解説していますので、パワハラに悩んでいて「会社都合」で退職し、失業保険の給付を考えている方はぜひご覧ください。

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採用条件と著しく労働環境条件が違う場合の証拠集め

実際に入社してみたら、採用条件と労働環境条件が大きく異なり、自らの判断で退職した場合には、「会社都合」が退職理由になります。

この時の労働環境を証明するために、在職中に証拠をできるだけ多く集めておく必要があります。以下、「会社都合」で失業保険を受給するための証拠の集め方をご紹介します。

残業が多い場合は、タイムカードのコピー

採用条件と異なり、実際の労働環境で残業が多い場合、タイムカードのコピーを取っておくと、証拠になります。

労働条件が違うと話し合いを持った時の音声データ記録

また、雇用者と労働条件について話し合った場合には、その会話内容を録音しておけば、証拠として使うことができます。

会社都合退職ではなく特定受給資格者の該当で給付待遇がよくなる場合も

「会社都合」で退職した場合の失業保険受給者を「特定受給資格者」と言います。「特定受給資格者」の場合、給付日数が多いなど一般受給者より待遇がよくなっています。

その他に、「会社都合」でなくても、退職した理由によっては「特定理由離職者」として、給付待遇が優遇される場合があります。

また、特定理由離職者には「特定理由離職者1」と「特定理由離職者2」があります。

対象者 給付制限 給付日数優遇
特定受給資格者   なし   あり
特定理由離職者1   なし   あり
特定理由離職者2   なし   なし
一般受給資格者   あり   なし

特定理由離職者1は、期間を定めて労働契約をしていた人が契約の更新をされずに離職した場合で、特定受給資格者(「会社都合」)と同じ受給待遇となります。

特定理由離職者2は、上記のような理由により退職した方で、給付日数は一般受給資格者と同じですが、給付制限(給付開始まで3か月)はありません。ほかにも特定理由離職者2となる退職理由がいくつかあります。以下、ご紹介します。

1.精神的な病気などで退職する場合

体力の不足や、疾病、不詳、視力の減退、聴力の減退など、身体能力的に仕事を続けることが難しくなったために離職した人は、「特定理由離職者2」となります。

2.病気で親や家族を扶養する場合

親の死亡、疾病、負傷のために親の面倒を見なくてはならず、離職せざるを得なくなり離職した人も、「特定理由離職者2」となります。例えば、両親の認知症が悪化し、常時看病する必要があ炉ので自分が看病するために離職した場合などです。

失業保険の会社都合退職に関する、よくある質問

「会社都合」を理由に失業保険を受給する際、疑問点を残したままにするのは不安になってしまいますよね。以下、多く寄せられた質問と答えをご紹介します。

会社都合の場合、いつから失業保険を受け取れるのか

会社都合の場合でも、失業保険の受給申請をした日から7日間は待期期間となり、その間は失業保険は給付されません。そして、待期期間が終了した翌日の分から失業保険が給付されます。

実際に失業保険の給付金を受け取れるのは、待期期間の終了した日の次の認定日に失業認定報告書を提出し、その約7日後になります。

認定日とは4週間ごとの決まった日に指定されています。その日が休日や年末年始にあたると、認定日はずれます。

会社都合の場合、失業保険の待機期間はどのくらいの期間なのか

会社都合も自己都合も待期期間は7日間です。自己都合の場合、待期期間の後に、給付制限が3ヶ月あります。

会社都合で退職した際、失業保険でお祝い金をもらえる条件は

お祝い金には、再就職手当・就業手当・常用就職支度手当があります。いずれも就職または事業開始できた時にもらえる手当で、失業保険の給付日数が既定の日にち以上残っている場合にもらえるものです。

再就職手当は、「会社都合」で退職した場合と「自己都合」で退職した場合とは、失業保険の給付金がもらえる条件が異なります。

退職理由が自己都合で、給付制限の初めの1月間に再就職が決まった場合、再就職先はハローワークまたは職業紹介事業者の紹介である必要があります。

会社都合の場合はこの制限がありません。会社都合の場合は給付制限自体がありませんので、この制約は受けません。最初から、知人の紹介や新聞広告から就職しても再就職手当がもらえます。

  • 再就職手当

早期に正社員として再就職先が決まった場合、または事業を開始したときに支給される手当で、残っている給付日数によって支給額が変わります。

給付日数が2/3以上残って再就職した場合は、残っている給付日数の70%分の給付額

給付日数が1/3以上残って再就職した場合は、残っている給付日数の60%分の給付額

このように、より早く再就職が決まると、より多くの再就職手当が支給されます。再就職手当は、再就職が少しでも早く決まるように定められた制度なのです。

さらに、再就職手当を受給された方が、6ヶ月以上その企業で勤務し、その6か月間の賃金が離職した企業での賃金より低い場合は「就業促進定着手当」が受給できます。

再就職手当を受給するためには、以下の条件を満たす必要があります。

①失業保険の給付日数が、所定の給付日数の1/3以上残っていること。
②再就職先が1年以上継続して勤務できること。1年以内でやめることが決まっている場合は支給されません。
③再就職日または事業開始日が、7日間の待期期間の後であること。待期期間とは失業保険受給手続き終了後の7日間の事です。待期期間終了前に再就職が決まった場合は支給されません。
④給付制限(退職理由が自己都合等の場合3ヶ月の給付制限があります)がある場合、給付制限の最初の1月間はハローワークまたは、職業紹介事業者の紹介で再就職が決まった場合に限ります。
⑤再就職先が離職前の事業所でないこと。または、密接な関りがないこと。
⑥雇用保険の被保険者になっていること。
⑦過去3年以内に再就職手当を受給していないこと。
⑧失業保険受給手続き日より前に、再就職の内定が決まっていないこと。

  • 就業手当

再就職が正社員などの常用雇用でない場合、アルバイトのように1年以内の雇用契約の場合には就業手当が支給されます。

  • 常用就職支度手当

高齢者や、障害者など就職が困難な方が、就職されたときに支給される手当です。再就職手当の受給資格がある方で、給付日数の残りが1/3未満の場合にも支給されます。

失業保険を会社都合退職できるなら、会社都合退職がおすすめ

退職理由が「会社都合」と「自己都合」では、給付日数、給付制限、国民健康保険税額に大きな差があります。本当は「会社都合」なのに「自己都合」で失業保険を申請しようとしているあなた。

ちょっと待ってください。「会社都合」ではないかもう一度よく調べてみてください。立場の弱い雇用者は法律で守られています。正当な権利を行使して、不利益を被らないようにしましょう。

「会社都合」の退職者を出した企業は、助成金がもらえなくなったり、ハローワークの求人ができなかったり不利益を被ります。企業は自分たちに落ち度があっても、「自己都合」での退職を求める場合がありますが、それに負けないでください。

また、「自己都合」で退職した後でも、「会社都合」と認められるだけの理由があれば退職理由を「会社都合」に変更することができるのです。

「会社都合」で退職し、失業保険を受け取って新たな一歩に備えましょう!

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