知らないと損する自己都合退職で失業保険を賢く受給するための全知識

「自己都合で失業保険をもらいたいんだけど、自己都合って何かよくわからない」このように、自己都合とは何かよくわからない方は多いでしょう。しかし、自己都合の条件さえ知れば、自己都合で賢く失業保険を受給できるのです。この記事では、自己都合とはどのような条件なのか、賢く自己都合で失業保険を受給するためのポイント、よくある質問など、失業保険を自己都合で受給する際の全知識をご紹介しています。

失業保険を自己都合退職で賢く受給する基礎知識

万が一、失業してしまった場合に役立つのが失業保険。しかし、この失業保険も正しく理解しておかなければ、「自己都合退職」という退職理由を有効活用できないばかりか、かえって困窮してしまうことにも繋がりかねません。個々では、賢く受給するための基礎知識を詳しく見ていきます。

自己都合退職とは

病気や怪我などの健康上の問題、また親の介護、女性であれば出産など自己の都合で退職する場合のことを自己都合退職と呼びます。

会社都合退職と自己都合退職の違い

会社都合退職とは、人員整理や事業部閉鎖などで会社から解雇されることで退職することを指します。この場合は自己の都合とは関係なく、労働契約が打ち切られますので上記の自己都合退職とは区別されます。また、会社からの早期退職制度に応じた場合は、「自己の申告」ではありますが、会社の制度に賛同して退職するので、会社都合退職扱いとなります。

会社都合退職の場合には、多くの場合一方的に労働契約を打ち切られ、退職を余儀なくされてしまうことが多いです。そのため、自己都合退職に比べてハローワークや、特に失業保険の取扱いに関して手厚い補助を受ける事ができます。

失業保険の受給待遇を金額や給付期間などで比較(会社都合退職と自己都合退職)

では、会社都合退職と自己都合退職では、金額や給付期間などで、具体的にどのくらい違いが出るのでしょうか?

以下、会社都合退職と自己都合退職の違いについてみてみましょう。

給付日数・給付期間

まず、失業保険が給付される日数です。

会社都合退職 自己都合退職
90~330日 90~150日

自己都合に比べると、会社都合の方は1.5倍~2.2倍程度、給付期間が伸びる可能性があります。また、期間に関しては後述する給付制限期間も関わってきます。

給付制限

自己都合も会社都合も、どちらも退職してハローワークに申請を出してから7日間は待機期間と呼ばれ、アルバイトや内職もしてはいけません。これとは別に「給付制限」というものがあり、給付制限とは、自己都合退職の際に3ヶ月間、失業保険の給付を制限(猶予)されることです。

自己都合退職の際に給付制限がかかる理由ですが、そもそも失業手当は「会社都合で退職を余儀なくされた方」の為という位置づけだからです。自己都合の退職者は自己の都合で、計画的に退職しているので、お金に関する緊急性は低い、という判断によります。

会社都合退職の場合は、ハローワークで失業認定の手続を行ってから、7日間の待機期間を経てハローワークにて説明会などを行った上で失業認定→失業保険受給開始、となります。

自己都合退職の場合には、待機期間が解けてからの手続こそ同じですが、3ヶ月は失業手当を受給することができません。これを「給付制限期間」と呼びます。またその3ヶ月の間に、指定された方法で求職活動を一定回数行わない場合も、失業保険を受給することはできませんので注意が必要です。

最短支給開始日

最短で受給できるのは会社都合退職した場合で、滞りなく手続を進めた場合、約1ヶ月後に受給することができます。ただし、その間に行われる雇用保険説明会に出席し、求職活動をする必要がありますので、ハローワークには何度か足を運ばなくてはいけません。

加えて、受給までの期間に就職した場合には失業保険の受給はできません。また、受給が始まっても、アルバイトなどで収入があった場合にはハローワークに申告する必要があります。(これを怠ると不正受給になります。)申告しても受給額がその分調整されるだけですので、忘れずに申告しましょう。

自己都合退職の場合、前述の給付制限期間をいれて、3ヶ月弱してから受給開始となります。ただし、受給開始まではアルバイトや内職などが可能なので、この期間の生活費は確保することができます。

国民健康保険税

自己都合退職では、国民健康保険料は通常通り支払わなければなりません。(退職時に切り替えをしないでいると、無保険状態になります。この状態で万一のことがあると全額自己負担になります。)

会社都合退職の場合は、状況にもよりますが、最長で2年間、軽減措置を受けることができます。この場合、前年所得の3割を基準として健康保険料を計算しますので、所得額によってはこの軽減措置によって保険金額をぐっと圧縮することもできまます。

最大支給額

最大支給額は、会社都合退職で約260万円、自己都合退職で約118万円です。

自己都合退職の場合、そもそも受給期間が短い上、満期間受給できる条件も厳しいのですが、会社都合退職の場合には、退職を余儀なくされたという事情もありますので、このような開きが出ています。

しかしながら、この金額を受給するためには、ハローワークが指定した方法で、求職活動を継続していなければいけません。

失業保険を自己都合退職で賢く受給する4つのポイント

制度として失業保険というものがありますが、元々これは会社都合で(倒産などに対応して)退職する労働者を保護するためのもの。しかし、会社に解雇されると再就職の際悪影響もあります。恐れて手をこまねいているなら、賢く自己都合退職する方法を検討するものいいかもしれません。

以下、自己都合退職で失業保険を受給するためのポイントを解説していきます。

1.正当な理由のある自己都合退職:特定理由離職者に当てはまるかを確認

怪我や視力の低下などで退職を余儀なくされた場合、「特定理由離職者」として正当な理由のある自己都合退職であると認められます。この条件に当てはまる場合には、自己都合退職のデメリットである、3ヶ月の給付制限がなくなり、会社都合退職と同じような条件となります。

この特定理由はいくつかの種類が有り、

  • 有期雇用で働いていて、雇い止めになった。(更新されなかった)
  • 体力の低下や心身障害などで、職務の遂行が困難になった。
  • 単身赴任などで、家族との別居生活が困難になった。
  • 家族の扶養・介護が必要になったなど、家庭環境が急変した。
  • 結婚や離婚で住所が変更になり、会社に通勤できなくなった。
  • 妊娠・出産などで退職し、受給期間の延長措置を受けた。
  • 会社の早期退職制度を利用して退職した。

以上の場合が該当します。

2.退職前6ヶ月間の給料を増加するような勤務をし、支給額ベースを上げる

失業手当は過去6ヶ月分の平均給与から算出されます。したがって、過去6ヶ月の給与を上げておくことで、受給金額を底上げすることができます。また、この期間に張り切って仕事をしておき、業績を作っておくことで再就職の際に有利になる事もあります。しかし、張り切って仕事をするにしても、効率的に仕事をしなければ成果はでません。

以下の記事では効率的に仕事をするためのノウハウを詳しくご紹介しています。

効率的な仕事の進め方とコツが分かる「仕事の進め方10か条」|現状打破する改善方法も

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3.公共職業訓練を受講し、給付制限3ヶ月を早める

職業訓練期間中は、給付制限が解除されます。退職してからすぐに職業訓練の申し込みを行えば、給付制限期間無しで失業保険を受給することができます。(職業訓練中は仕事ができないため)

職業訓練校は常時募集しているもの、入校日が特定されているものがあり、コンピュータ関連から土木技術まで、実に多様なカリキュラムが組まれています。費用については無料のところが多いですが、一部教材は実費というものもあり、場所と訓練内容によっては、毎月手当を支給されることもあります。

その他、入校の手続はハローワーク、職業訓練受講後の就職に関しては職業訓練校がある程度手続を代行してくれますので、手厚い補助を受けることができるでしょう。

4.自己都合退職ではなく会社都合退職にならないか確認

会社との交渉によって、会社都合にならないか確認するのもいいかもしれません。

しかし、会社側からすると、会社都合退職者を出すことは自社のブランドに傷をつけることになります。できれば退職者は全部自己都合で出したいということです。悪くすれば、会社都合を無理矢理自己都合で退職させている例も報告されています。

特定理由離職者として申請できるのであれば、その旨を交渉してみるのもいいかもしれません。

自己都合退職を会社都合退職へ変更するための知識

会社としては会社都合退職を出したくない、というのは前述しました。

退職者としては、失業保険の絡みからも会社都合での退職を認めて欲しいところですが、無理を言っても仕方がありません。逆に円満に退職できなければ気持ちが晴れませんし、次の職場でも退職時の話は面接で必ず話題になります。

また、会社都合退職の場合、再就職の面接で理由を必ず聞かれます。リストラや人員整理なら仕方がありませんが、「解雇」ならば個人の業績不振や人間関係、勤務態度などいらぬところで疑惑を生みます。面接対策は自己都合退職よりも十二分に練っておく必要があるでしょう。

会社都合となる理由に当てはまるか調べる

会社都合と自己都合では失業保険の受給だけでなく、様々な面で違いが出てきます。会社を辞めたいと切り出したからといって、必ずしも自己都合ではないので、以下の点をよく確認しましょう。

1.会社の倒産

会社の倒産は会社都合での解雇となります。

また、倒産の種類も多様で、破産だけでなく民事再生法・会社更生法などの適用となった場合には全て倒産として扱い、会社都合退職となります。

2.会社の約3分の1以上が退職など、大量の離職者が発生した場合

上記のほか、1ヶ月に30人以上が退職した場合、会社に問題があったと見なされて会社都合退職扱いとなります。

3.給料の支払いが停止した・低下した場合

会社の業績が芳しくなく、給与が支払われなかったり、金額が85%以上減額された場合もしくはされることになった場合、会社都合退職者として扱われます。

4.採用条件と労働条件が大きく異なる場合

上記の場合はもちろんですが、労働契約が、その実態としての労働内容と著しく乖離している場合には、会社都合退職となります。また、契約社員などで、雇用契約の更新が雇用契約書に記載されているにもかかわらず、更新されなかった場合は会社都合となります。

5.パワハラ・セクハラ・モラハラなどで退職した場合

これらを受けている場合、第一次的には人事部や法務部を通して相手方を罰するのはが正攻法ですが、会社にいずらくなってしまい、退職せざるを得ない状況になることも多くあります。そんな場合でも無条件で会社都合退職になりますので、心配はいりません。

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採用条件や労働環境条件などが違う場合の証拠集めをしておく

退職前の3ヶ月間に、月の残業時間が45時間を超えている場合、会社都合退職となる可能性が高いです。問題は、それらの残業時間を、しっかりと管理しているかどうかということです。

サービス残業が多い場合はタイムカードのコピー

タイムカードのコピーは、非常に有用な対策の一つです。会社側に提出する前に、コピーを保管しておきましょう。

また悪徳な会社では、特定の時間になったらタイムカードを切るようにいわれることもあります。その場合にはコピーを取っても標準範囲内なのでおとがめ無し、ということになるからです。

実際に働いた時間を記録するために、写真なども使って積極的に証拠を集めましょう。

労働条件が違うと話し合いを持った時の音声データ記録

労働条件が就業時に提示されていた内容と明らかに異なる場合、それを上長に申告するべきです。また、その内容に関しては全て音声記録をとりましょう。それで齟齬が解決するならよし、会社が無理な論理で違う内容を押しつけているのなら、退職時にその証拠として提出しましょう。

ちなみに、労働組合が使用者側と交渉する際も、労働組合側、使用者側ともに音声記録を残すようにしているのが一般的です。

失業保険の自己都合退職に関する、よくある質問

知識としてはもっていても、これらは運用上どう使われるかが問題。実際にどのような疑問があるか、整理してみましょう。

自己都合退職の場合、失業保険をいつからもらえるのか

7日間の待機期間終了後、3ヶ月の給付制限があります。それを経て2回目の失業認定を受けた後4~7日後に振り込まれますので、悪くすると40日以上先になる事があります。

自己都合の場合、失業保険の待機期間はどのくらいの期間なのか

待機期間は自己都合、会社都合問わず7日間です。

この期間はどちらも、アルバイトや内職など、「働く」ことができません。仮に働いた場合、失業保険の受給はできませんので注意が必要です。

自己都合で退職した際、失業保険でお祝い金・再就職手当をもらえる条件は

そもそも再就職手当をもらうための条件がいくつかあります。

  • 申請時点で、失業保険の支給日数が1/3以上、かつ45日以上残っている
  • 再就職先で1年以上、雇用されることが確実である(1年以内の契約社員や、更新の予定がない場合は該当しない)
  • ハローワークに登録するまえに決定していた雇用契約は該当しない。
  • 採用内定は7日間の待機期間以降であること
  • 前職による再雇用ではないこと
  • 過去3年以内に再就職手当など、規程の手当の支給を受けていないこと
  • 雇用保険に加入できること
  • 再就職手当の申請をして、すぐに退職しないこと

これらの他に、自己都合退職者のみ、ハローワークに登録してから1ヶ月間はハローワークの求人に就職した場合にのみ、再就職手当が受給できるという仕組みです。

失業保険の自己都合退職は、なるべく準備をして有利に退職しよう

いくら失業保険が会社都合退職者をメインにした制度だからといって、自己都合退職者も好き勝手に退職しているわけではない人が多いでしょう。もし運悪く、退職しなくてはいけなくなった場合、仕事の相談はハローワークでしっかりと確認し、生活に困らないように備えましょう。

今回ご紹介した内容は、いずれも退職してからの手続で充分間に合いますので、ごたごたの中で忘れることのないように、できればハローワークへの登録だけでも早期にしておきたいものです。その後の手続はハローワークで丁寧に説明してくれますので、手当を早く欲しいだとか、職業訓練を受講したいといった相談は是非積極的に行いましょう。

 

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